ショートショート作品 No.004

『こねこのミイちゃん』

 おおきなはらっぱのまんなかに、こねこのミイちゃんのおうちがありました。あかいおやねの、ちいさなおうちです。
 ミイちゃんは、テーブルのうえにしろくておおきな、あかいいちごのえのついたカップをふたつならべました。きょうは、こいぬのワンタくんがあそびにくるひなんです。
 ミイちゃんがちいさなぎんいろのポットをテーブルにはこんだとき、ドアがあいて、ワンタくんがはいってきました。
 ばしっ。
 ミイちゃんの<はりせん・ちょっぷ>が、ワンタくんのはなづらにきまりました。
 ワンタくんはびっくりして、はなをおさえながら、
「いたいなあ」
と、いいました。
 ミイちゃんは、ひとさしゆびをたてて、
「ばかねえ、れでぃのおうちにはいるときは、のっくぐらいするものよ」
というと、ワンタくんをそとへおしだして、ドアをばたんとしめてしまいました。
 ミイちゃんは、ワガママなこだったんです。
 ワンタくんはまだヒリヒリするはなをさすりながら、おそるおそるドアをトントンとたたきました。すると、ドアがすっとひらいて、なかからミイちゃんがいいました。
「まあ、ワンタくん、おどろいたわ。ちょうどいま、おちゃのよういができたところなのよ。さあ、えんりょしないではいって。」
 ワンタくんは、おもわずめがてんになってしまってぐずぐずしていましたが、いっしゅんミイちゃんのめから<さっき>をかんじたようなきがしたので、いそいでおうちにはいりました。
 ワンタくんがせきにすわると、ミイちゃんがおちゃをついでくれました。
 ワンタくんは、はなをクンクンさせて、
「なんだか、かわったにおいのおちゃだね。」
 と、いいました。
 ミイちゃんは、とくいげにむねをはって、
「<じゃすみん・てぃー>よ。」
と、いいました。
 ワンタくんが、
「<じゃすみん>ってなあに?」
ときくと、ミイちゃんは、もっともっととくいげに、
「よくわかんないけど、<じゃすみん>ってかいてある<ばすくりん>をいれたんだから、まちがいないわ。」
と、いいました。
 ワンタくんは、あおいかおをして、
「ぼく、あんまりのみたくなくなっちゃったな・・・。」
と、いいました。
 ばしっ。
 ミイちゃんの<ひらてうち>が、ワンタくんのほっぺに、あかいもみじのあとをつけました。
 もみじのうえを、なみだがひとつぶつたっていきました。
 ミイちゃんは、うでをくんでワンタくんをにらみつけながら、
「わたし、いっしょうけんめいつくったのよ。これをのむと、きっとからだがあたたまるわ。」
と、いいました。
 ワンタくんは、ふるえるてでカップをとって、
「お、おいしそうだね、えへへへへ・・・。」
と、ひきつったわらいをうかべて、いっきにおちゃをのみほしました。
 ミイちゃんは、ニッコリして、
「ね、おいしかったでしょ。」
と、いいました。
 ワンタくんは、「うん」というつもりが、
「ぐ・・ぐん。」
と、なってしまいましたが、ミイちゃんはきにしていないようでした。
 ミイちゃんは、ごきげんになって、
「さあ、おちゃのじかんはおわったわ。なにしてあそびましょうか。」
と、いいました。
 ワンタくんは、せきがでるのをひっしでがまんしながら、
「ぼ、ぼく、おいしゃさんごっこがいいな。」
と、いいました。
 どかっ。
 ミイちゃんの<しんくう・とびひざげり>がワンタくんのこうとうぶをちょくげきしました。
 あたまをかかえてウンウンうなっているワンタくんにむかって、ミイちゃんは、
「きょうはおひさまがあたたかいんだから、おそとでおにごっこをするのにきまってるじゃない。」
と、いいました。
 ワンタくんは、やっと、
「そ・・・そうだね・・・。」
とだけ、いいました。
 おそとはいいおてんきです。


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