実に良く出来たお子様向け映画。『ドラえもん』のない国の子供には、こんな映画が必要なのだと思う。
SF的な要素や論理的な整合性を重んじていない分だけ『ドラえもん』よりも更に低年齢層向けという気がするが、その限りにおいてはかなりクオリティが高いと思う。ハラハラさせる演出においては映画の『ドラえもん』よりも上を行っているだろう。
現在の基準からするとSFXが陳腐にも見えるが、スピード感やリズムなど押さえるべきところは押さえているため、全体の印象が安っぽくなることは避けられている。小さな子供にそれなりのインパクトを与えることは出来る仕上がりだと思う。全体的な構成はありきたりでもあるが、私が幼児の頃にこの映画を観ていたら、かなりの感銘を受けただろうと思える。
実際にどうなのかは知らないが、この作品はとにかく最初から子供向け映画として企画され、誠心誠意その目標に真剣に取り組んだ結果いいものが出来た、という印象がある。そして当然ながら、そういう作品は大人が観ても楽しめるものなのだ。
残念なことに、そういう「よく出来た子供向け作品」というのは日本のアニメを別にすると非常に少ない。その意味で、この作品は貴重な一本と言えるかもしれない。
