【映画の感想】(含ネタバレ)

『スリーパーズ』
★★

 こういう「暗さ」って、実に日本人好みなんじゃないかと思う。実際、演出やストーリー展開などはほとんど日本映画なんじゃないかという気がする部分がかなりあった。
 反面、暗いばかりで終始せず、とくにラストではアメリカ的な明るさを示しているのだけど、それがどうもちぐはぐに見える。主人公たちの一応の「勝利」にもカタルシスが感じられないのだ。実話が元になっているという制約が大きいのかもしれないが、だから納得出来るというものではない。そもそも私は作品の元ネタが実話であることを売りにするのが大嫌いだし。

↓ ネタバレ ↓

 作品としての演出上、ラストの時点で「一応は全てに決着がついた」ということにしたいというのは解るのだが、そのやり方が強引過ぎる気がする。実話の結果を曲げることは出来ないから無理矢理「それで良かった」ことにしようとしているのが見え見えなのだ。どう考えても、看守たちのある者は殺されて、ある者は別件で逮捕されただけで、ある者は法廷で事実を暴露されただけで、それで決着がついたとは私には思えないのだが。
 それに、迷った末に多くのものを捨てて法廷で偽証した神父や、アル中から立ち直りかけの弁護士や、汚れ仕事を引き受けてくれたジジイはその後どうしたのか?結局はドラマに彩りを添えるオカズでしかなかったということか?

↑ ネタバレ ↑


 色々とアラが目立つこの作品だが、逆に考えると、ひょっとしてこの手の暗さというのはアメリカ映画界では新鮮なものだったりするのかな、と思えたりもする。どちらにしても、私はあまり好きじゃないけど。

1999/04/18
『スリーパーズ』
監督/脚本:バリー・レビンソン
原作:ロレンゾ・カルカテラ
製作総指揮:ピーター・ギリアーノ
製作:バリー・レビンソン/スティーブ・ゴリン

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