【映画の感想】

『バーティカル・リミット』

 「くだらないハリウッド映画」の典型。ドラマ性があるようなフリをしている分だけ面映いような程度の低いストーリーを、たたみかけるアクションで一気に見せてしまうという、例のパターンである。クズのようなストーリーが展開する中で、時折チラチラと気の利いたセリフがあったりキャラクターの見せ方が巧い部分があったりするのも、例の如く。そういうところが救いになって、どうしようもない内容に怒り出しもせずに最後まで見せられてしまうんだから、やはりハリウッド映画というのは凄いのだろう。
 あとは映像がどれだけ美しいか、アクションシーンにどれだけ迫力があるかだけの問題になるわけだけれど、どうもそれがこの作品では今一つ。画面作りは明らかに下手くそで、CGの使い方は更にお粗末。冒頭で飛ぶCG合成のコンドルだか鷲だかの動きがやたら不自然なことで、全ての底が割れてしまった感じ。なにしろ「こりゃスタジオ撮影だな」とすぐに判るような映りの前景が、妙に細部まで鮮明な遠景にそのまんま合成されているんだからたまらない。好意的に見たとしても、ビデオ撮影のTVドラマみたいな画面になってしまっている。アクションシーンの迫力に関しても、いくつか「おお」と思う場面があったにはあったのだけど、それ以外はとにかくカメラワークに面白味がなく、なんだか間抜けな感じが否めない。そしてそれ以前に、登場人物たちに襲いかかる「危機また危機」が終始同じパターンの繰り返しなので、最初のうちはハラハラしても、そのうち飽きて来てしまう。ストーリーがナニなので誰が生き残るかは最初から判っているわけだし、これでハラハラし続けろというのはちょっと酷だろう。

 実はこの作品、「つばさ証券」のCMかと思っちゃうような予告編があまりにもつまらなそうだったので「げー」と思っていたのだが、なんだか妙に「イイ」という評判がいくつか聞こえて来たので、それに騙されて観に行ってしまったのだ。まあ、一般的に言って、予告編を面白そうに作ることも出来ないようなスタッフが作った映画が面白いわけがないのだけれど、それでもたまに例外があったりするので、こうして騙されてしまうこともあるのだ。「一体、ハリウッドはこの手の映画を何本作れば気が済むんだ?」といつも思うのだが、この手の映画が軒並み大ヒットしていることは確かなのだから、作り手としてはそりゃー作るだろう。実際に私だって観に行ったのだから、「大ヒット」の一端を担っているわけだ。うーん、困ったもんである。

[★ ネタバレ部分を呼び出す ★]
2001/01/18
『バーティカル・リミット』
監督:マーティン・キャンベル
脚本:ロバート・キング/テリー・ヘイズ
撮影:デビッド・タッターソル

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